御挨拶  
               

この度、ふるさと村自然園にて私の画業50年を記念する版画展を開催させて戴くことになりました。 関係者の皆様のご厚意に対し、心よりお礼申し上げます。

展覧会のタイトル「きみありて、われあり」は、これまで私を励まし支えてくださった全ての人々・・・両親、家族、恩師は言うに及ばず、友人や教え子やモデルたち、版画仲間や木版画愛好家、、そしてここ南信州の地で新たに御縁のできたかたがたへの私の感謝の思いを表したものです。


版画制作50年を振り返る展覧会は、春に、横浜でも開催されました。しかし、その時は画廊側の企画・主催と言うこともあり、陳列された作品は販売を目的としたものに限られました。

今回の個展は、自分の思いのままにデザインする事ができました。 そのため、横浜では飾ることが叶わなかった作品も多く展示されています。

 手元に一枚しかない非売の作品や版画を始めたばかりのころの、稚拙ではあるけれど私にとっては特別な作品。 そして、独自な表現技法の開発を狙った実験的な試作 (リトグラフのように見える木版画や銅版画のメゾチントに似た黒の階調を持つ作品)なども敢えて飾ってみました。


また、この半世紀の間に制作した数々のシリーズ、その代表作や国内外での受賞作品、各国の美術館に収蔵された作品や皇室に献上された作品など、その時代時代の創作活動の節目となる作品も多く展示致しました。


木版画らしい木版画と、とてもそうは見えない木版画。 一日で仕上げた作品と、一年かけた作品。 何百枚も売れたものと、一枚も売れないもの。黒一色のものと、何十色も使ったもの。 誰にでも彫れそうな版画と、かなりの技術が無いとできない版画。楽しい思い出のつまった作品と悲しいことを思い出させる作品・・…

なんでもありのこの自選展をこの機会に是非御覧戴きたく御案内申し上げます。

          
                 平成26年10月   阿智村清内路   岡本流生

 NEXT      TOP