雲南の少年

中国


この時の取材旅行にも、忘れられない思い出があります。

町から遠く離れた山間の村。周りは一面の茶畑。霧がいつの間

にか雨に変わり、一軒の家のまえの軒先で雨宿り。

そのとき窓から手招きされて家の中で休ませてもらいました。

母親が私に差し出した茶碗は縁が大きく欠けていました。

慌てて娘が取り替えた茶碗も少しだけ縁が

欠けていました。そしてその中に注がれたのは熱い白湯。

娘の少し恥ずかしそうな顔が、お茶をお出しできなくて

すみませんと言っているように私には見えました。

作品ナンバー 10−15

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